靴下の発展は防寒衣料としての必要性のほか、聖職につく人が足を不浄な大地に付けないために着用し、布教とともに広がっていったとも伝えられている。
手編みが広く普及していたことは、1395年頃の宗教画の中に、4本の木の針で聖なる子供の上着を編んでいる聖母マリヤが描かれいることからも明らかである。(画家はマスター・ベルトラム、ハンブルグのKunsthalle所蔵)
エリザベス女王(1533~1603年)が初めて手編みの絹靴下を履いたとき「もう二度と布製の靴下は履きたくない」ともらされたと、J・ストーの「イギリス年代記」に記されている。このことは編物の靴下のほかに、布帛の靴下も存在していたことを教えてくれる。
エリザベス1世女王が初めて着用した手編みの長靴下(1560)
(モンテーグ婦人より贈られた靴下で、ロンドン郊外ハットフィールドハウスに保存されている)