昭和5年から昭和7年

所蔵品でたどる靴下の変遷2 (昭和5年から昭和7年)

5.リッチェリュー靴下

製作年:昭和5年
編機名:スプリットフート機
針数 :220本
糸遣い
 ゴム部:綿糸
 身部:絹糸
 カカト部、ツマ先部:綿糸
 甲部:絹糸
 足底部:絹糸
 モーレー補強:綿糸
特記
(a) 現在では、フロートステッチ、タックステッチで作られた立体的な縦筋の柄の靴下をリッチェルと呼んでいるが、本来フロートステッチで作られた靴下を言う。
(b) リッチェルと表現しているが、上記のリッチェリューが正しい名称である。
(c) 昭和2年にリッチェル装置を輸入し、B式機、バンナー機を改造して取り付けた。

6.ダービー靴下

製作年:昭和6年
編機名:ダービー・リブ機(ドイツ・ヒルシャー社製)
針数:45G
糸遣い
 ゴム部:綿糸
 身部:綿糸
 カカト部、ツマ先部:綿糸
 甲部:綿糸
 足底部:綿糸
特記
(a) ダービー機という名称は、1758年、イギリスのダービー州に住むジュデディア・ストラット氏がリブ編機を発明したことに由来している。
(b) 切替え装置が付いているため、切替え柄の商品に多く使用されている。かかと部のスクエアヒールが大きな特徴である。
(c) FF(フルファッション)編機では、平編み組織の商品が中心だが、柄入りリブ靴下はめずらしい。

7.ゴム入り靴下の試作品

製作年:昭和7年
編機名:B式機
針数:220本
糸遣い:毛糸(ゴム糸の番手と被覆糸のデニールは不明)
特記
(a) 日本で最初にゴム糸を入手したのは、山村貞次郎氏と江尻久治郎氏の両名。昭和4年、山村氏はアメリカ視察時に肌着類、靴下にゴム糸が使用されていることを発見。ラスティック社に赴き、見本糸10点(30ポンド、丸ゴム)を入手した。江尻氏はイギリスのダンロップ社製のゴム糸を使用し、医療用として試作している。
(b) 写真の靴下は昭和7年に当社が試作したもの。昭和9年には「セルフィックス」という商標で商品化され、大きな評判を取り、内外編物(現:ナイガイ)の名を一躍高めた。
(c) アメリカではカバー糸として絹紡糸が使用されていたが、日本になかったため、人絹糸を使用したところ良い結果が得られた。現在もゴム糸のカバー糸には、レーヨンが使われている。
※人絹(人造絹糸=レーヨン)
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水戸光圀・ジャイアント馬場・川端康成の靴下を紹介
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