昭和8年から昭和10年

所蔵品でたどる靴下の変遷3 (昭和8年から昭和10年)

8.針抜き靴下

製作年:昭和8年
編機名:B式機       
針数:220本
糸遣い
 ゴム部:綿糸
 身部、足部:レーヨンとシルクの絡み糸
 カカト部、ツマ先部:綿糸
特記
(a) 当時はまだ柄編機は少なく、ファッション性のある柄靴下の要望に対して、編針を抜くことで畦編風の柄靴下を作った。
(b) 無地編機(B式)で柄を出す工夫として、シンカードロップステッチ(シンドロと呼んでいた)と、この針抜き法によるドロップステッチ(編目をドロップさせる)が使われていた。
(c) 単純に針を抜くと編成ができなくなるので、カカトやツマ先部になると針が通常の状態になるような装置が必要であった。

9.プリント靴下

製作年:昭和8年
編機名:B式機       
針数:200本
糸遣い
 ゴム部:綿糸
 身部、足部:綿絡み糸
 カカト部、ツマ先部:綿糸
特記
(a) 柄編機の少ない時代の工夫の一つで、異素材との絡み使いとプリントの抜染法でさらに変化をつけている。
(b) WASEDAのロゴを柄としている。
(c) その他、オパール加工等の技法も使われたようだ。

10.ゴム入り脚半

製作年:昭和10年
編機名:B式機       
針数:240本
糸遣い:絹糸

特記
(a) 和装の時に着物の裾払いをよくするために使われたストッキング。
(b) トップにゴム糸を編み込んで、ズリ落ちを防ぐ工夫をしている。
(c) 経編地使用の縫製品もあったが、靴下編機を利用して作られた特殊品。

11.ウールのゴルフ用ニッカーホース

作年:昭和10年
編機名:B式機       
針数:120本
糸遣い
 ゴム部:ウール1/20+1/30
 身部:ウール1/30-2
 カカト部、ツマ先部:ウール1/20+1/30
 足底部(モーレ):ウール1/40を補強
特記
(a) 当時のゴルフスタイルはニッカーボッカーが定番だった。
(b) タック組織を利用して立体感を出している。口ゴム部とレッグ部ではタックの組織を変えて、さらに変化を持たせている。
(c) 折り返し部は別編みで、二重にした上で縫製している。
(d) 部位によって糸遣いを変えるなど機能性も付加している。
所蔵品紹介
水戸光圀・ジャイアント馬場・川端康成の靴下を紹介
大正13年から昭和4年
昭和5年から昭和7年
昭和8年から昭和10年
昭和11年から昭和12年
古書にみるストッキング
ユニークなソックスを紹介
ユニークなソックスを紹介
靴下の歴史
靴下作りの技術はいつ
どこで発祥したのか
イギリスを中心としたメリヤス業の発展
多様な編機の発明の背景
メリヤスという言葉はいつ日本に伝わったのか