人類が立って歩くようになったのは、今から360万年前と言われています。原始人たちは捕獲した動物の毛皮を衣服にしていましたが、その毛皮を細く切り足に巻いて保護するようになったのが、靴下のルーツではないかとイギリスのレスター大学のジョン・チェンバレン氏が述べています。
靴下は爪先から脚部を覆う編み物で作られた衣類と言えます。その編み物の技術がいつ頃どこで発祥したものであるかは、その記録も少なく、保存されている製品もほとんどないことから、事跡をたずねるのは困難です。ただ、長靴下の最初の形はローマ人やその他の古代人が着用していたプーテー(Puttees)とされています。
また、ミラノのSt.Ambrose教会の5世紀のモザイク(世界最古の色の付いた遺物とされている)の中には、高い地位にいた僧侶たちが白い長靴下を着用している姿が描かれています。
下の図版は14世紀のクイーン・メリーの詩編の縮図で、中世期の貴婦人が侍女の差し出す布のストッキングを履こうとしているところです。これを見る限り、現在のストッキングとスタイルは変わらないようです。(ロンドン大英博物館蔵)